情報処理分野の資格で初の「士業」となる、情報セキュリティに関する国家資格「情報処理安全確保支援士」は、平成29年に創設された、まだ新しい資格です。
※尚、情報セキュリティスペシャリストからほぼそのままの形での移行した資格です。
「情報処理安全確保支援士」に関する概要
資格・スキルとしての分類 | 国家資格(試験後要登録) |
活用分野 | IT |
用途 | 副業 独立開業 就職・転職 実用 |
標準学習時間 | 200~500時間 (応用情報技術者資格保有者~初学者) |
需要度 | |
習得しやすさ | |
習得・活用のための費用の低さ | |
在宅との相性 | |
資格・スキル単体での収益化 | |
他の資格・スキルへの展開 |
求められる水準
公式では以下7つを期待される水準としています。
- 情報システム又は情報システム基盤のリスク分析を行い、情報セキュリティポリシに準拠して具体的な情報セキュリティ要件を抽出できる。
- 情報セキュリティ対策のうち、技術的な対策について基本的な技術と複数の特定の領域における応用技術をもち、これらの技術を対象システムに適用するとともに、その効果を評価できる。
- 情報セキュリティ対策のうち、物理的・管理的な対策について基本的な知識と適用場面に関する技術をもつとともに、情報セキュリティマネジメントの基本的な考え方を理解し、これを適用するケースについて具体的な知識をもち、評価できる。
- 情報技術のうち、ネットワーク、データベース、システム開発環境についての基本的な知識をもち、情報システムの機密性、責任追従性などを確保するために必要な暗号、認証、フィルタリング、ロギングなどの要素技術を選択できる。
- 情報システム開発における工程管理、品質管理について基本的な知識と具体的な適用事例の知識、経験をもつ。
- 情報セキュリティポリシに関する基本的な知識をもり、ポリシ策定、利用者教育などに関して、情報セキュリティ管理部門を支援できる。
- 情報セキュリティ関連の法的要求事項などに関する基本的な知識をもち、これらを適用できる。
尚、情報処理安全確保支援士の資格維持は、3年ごとの更新申請が必要となります。更新試験はありませんが、オンライン講座と実践講習を受ける必要があり、資格維持にかかる費用が多少発生します。変化が早い分野ですので、資格維持最低限の活動だけではなく、資格取得後も学習を続けることが必要と言えるでしょう。
実は、超狙い目の資格です
国内で実施されるセキュリティ関連試験の中ではレベル4をつけ、民間も含め最難関ではありますが、実は、レベル3応用情報技術者からのステップアップ先である高度区分の中では最も合格しやすい難易度であり、しかも、これから先、明らかに需要が増え続ける分野なのは間違いないでしょう。応用情報技術者資格保有の先になる資格として最有力です。
午後の試験も、論述形式ではなく記述式なので、市販のテキストや講座を活用することで、実務経験が無くとも十分に合格が可能です。
収入面においても、当然ながら単価の高い職種であり、その専門性がわかりやすい職務であるため、副業や独立開業をして、複数の企業の情報セキュリティ監査やセキュリティ設計を受託したり、専門知識を活かしたセミナー講師、学習講座講師なども需要があります。
また、情報処理安全確保支援士合格には、他の国家資格における科目免除や、職によっては任用資格に設定されています。
- 弁理士試験の科目免除
- 技術陸曹・海曹及び予備自衛官補(技能公募)の任用資格
- 警視庁特別捜査官の4級職(警部補)のサイバー犯罪捜査官の任用資格
日本だけでなく、サイバーセキュリティの専門家育成は全世界の課題でもあるため、コンピュータ関連の専門家を目指そうと思われる方は、最終的な資格取得目標をこの資格に定めてみては如何でしょうか。
情報処理安全確保支援士と相性が良い周辺資格
基本的に、情報処理安全確保支援士は、一つの専門家としての到達点であるため、素直に展開するとすれば、国際資格への昇華になるでしょう。
情報セキュリティ系の国際資格の「CISSP(Certified Information Systems Security Professional)」か、情報システム監査系国際資格の「CISA(Certified Information Systems Auditor)」あたりでしょうか。
その他専門的すぎるため割愛しますが、情報セキュリティに関する資格は多岐にわたります。
自分自身が目指すキャリアや興味のある分野に合わせて、適切な資格を選択することが重要です。