職業能力開発促進法施行令の一部を改正する政令を根拠に、厚生労働省が、特定非営利活動法人インターネットスキル認定普及協会に委託して運営されている「ウェブデザイン技能検定」は、Web専門家を対象とした唯一の国家資格です。検定に合格すると、「ウェブデザイン技能士」という、名称独占資格(有資格者しか名乗れない技能士という名称)が得られます。
尚、おそらく、業界に居ても知らない方が大半かと思いますが、ウェブデザインは技能五輪の正式職種です。(2007年 第39回技能五輪国際大会から。)
ウェブデザイン技能検定は、誰でも受けられるの?
ウェブデザイン技能検定は、1級~3級まであり、飛び級は可能で、いきなり1級を受けたり、3級合格後1級を受験するなどは可能です。
3級は初学者向けで受験資格はありませんが、2級以降は意外とハードルが高い受験資格があります。
1級は、以下のいずれかを満たす方が受験可能です。
2級は、以下のいずれかを満たす方が受験可能です。
流石、国家資格、わかりにくいです。
簡単に言えば、1級のみ、どういう形だろうが実務経験が問われ、2級3級は実務経験が無くとも受けられます。
仮にあなたが四年制大学を卒業されていれば、大卒で即受けられるのは2級まで。大卒で実務経験3年あればいきなり1級受験できますよ。ということですね。
尚、「実務経験」とは、『ウェブの作成や運営に関する業務に携わった経験のことである。』とされていますので、Web系のディレクター、デザイナー、コーダー、プログラマー、サーバーエンジニア、あるいはWebマスターとして自社のWebサイトを管理していた方などなど、何かしら物を作っていればOKなのだと思われます。(合格に不利有利は別として。)
試験の難度は?
本記事筆者自身は、サーバサイドは専門で、クライアントサイドは広く浅くという技量なのですが、実際に3級の練習問題を準備一切なしでやってみました。
回答方法は2択または4択の択一式マークシート方式(オンライン)です。
結果、76点で、ギリギリ合格(70点以上が合格)でした。危ない(汗)
出題内容ですが、ディレクター、デザイナー、コーダー、プログラマー、サーバーエンジニアの単一職種での実務経験だけですと、全く分からないであろう問題が多々あるので、3級とはいえ、試験対策なしに合格はかなり難しいと思われます。いずれの職種でも実務上考える機会がなさそうな、権利関係、個人情報保護関連、マネジメント、職場環境に関する領域も出題されます。
ちなみに私が専門的知識を有するサーバサイド関連の問題は2問しかありませんでした。所感としては、デザイナー専任者が一番不利ですかね、おそらく。
現場技術職上がりのディレクターで、マネージャーまで来た方であれば、試験対策なしに実務経験だけで合格できるというのが、おそらく妥当な結論かと思われます。
となると、2級以上は・・・実務経験だけで勝負しに行くのは、まず、おやめになられた方がよろしいかと思います。
ちなみに、3級合格率は60~70%、2級合格率が30~40%、1級合格率が10~20%と、国家資格にしては合格率が高いので簡単なように見えますが、あくまでも『きっちり試験対策した上での合格率』だと思いますので、率だけ見て油断されませんように。
ウェブデザイン技能検定は取得するべきなの?
独占業務(有資格者でなければできない業務)はありませんが、国家資格保有者というのは、業界内では一目置かれます。少なくとも、この資格保有者に価値を置かないWeb業界の現場トップはいないと思われます。
つまり、大手Web制作会社への就職や、ステップアップのための業界内転職においては、かなり大きな意味を持つ資格と考えて良いでしょう。
ただし、業界外の方への知名度はそれほど高くありませんので、この資格があるから仕事が取れるとまではいきません。この資格だけで独立開業は難しいと思われます。
少なくとも、中規模以上のWeb制作会社において、現場のトップに立つ上では、2級相当以上の知識は持っていないといけないかな。という感じではあります。
ウェブデザイン技能検定の効果的な学習方法は?
試験の難度で説明しましたが、技術職の方では、実務上全く触れないであろう出題範囲がありますので、この試験向けの学習対策は必要不可欠だと考えます。
尚、公式サイトの参考書籍等のページをご覧になれば分かると思うのですが、本検定のガイドブックがある一方、それ以外のHTML、CSS、プログラミングの一般技術書籍も挙がっており、参考書籍での学習は、結果としてもの凄い量の暗記をしなければならなそうで、かつ、違う本を跨いで覚える場合、書籍毎に書きぶりが違うので、結構効率が悪いです。
ですので、基本的には、資格スクールのウェブデザイン技能検定対策講座の受講などが、効率的ではないかと思われます。
また、問題そのものへの対策も必要と考えます。くせ者のひっかけ表現問題文が結構あります。
『特に●●に配慮したものである。』→『●●への配慮も必要だが、かといって▲▲も無視してはならないので”No”』とかです。
自動車免許試験を思い出しました。
問題文の癖への対策として、過去問やり込みは必須といえるでしょう。知っていたのにひっかかった!と、つまらないところで失点はしたくありませんよね。
各級の詳細については、また別の機会にご説明したいと思います。