医療事務関連資格の中では、最難関と言われる診療報酬請求事務能力認定試験は、一般的に300時間以上の勉強時間が必要とも言われていますので、気軽に勉強を始めて、すぐに合格できるというものではありません。
そのため、着手に躊躇される方もいるかと思いますので、そのような方に、参考になりそうな情報をまとめました。
難度は高いものの、実務経験がなくとも合格できます。
試験を主催する、公益財団法人日本医療保険事務協会の公式ホームページには、第1回から第58回受験者に関する統計データが掲載されています。
それによると、本記事執筆時点では、医科・歯科合計で、なんと、76.7%の受験者が実務経験なしとのことです。
年齢も、20歳以下が40.9%を占めています。
何故、難関資格であるにもかかわらず、実務経験がない受験者が多数になっているかというと、同協会の統計には「受講の有無」というものがあり、「76.8%が受講している」というデータがあります。受講が何を指しているかは明記されていませんが、同協会が各種学校等にカリキュラムを提供しているため、この公式カリキュラムの受講歴についてのデータと考えられます。
当然ですが、カリキュラム提供先は、民間の専門学校が多数となっています。このことから、つまり、受験者の多くは、専門学校生であることが推定されます。
裏を返せば、就職のための資格という色合いが濃いといえるのではないでしょうか。
ということは、実務と乖離しているの?
実務未経験者が大半の受験者だからといって、実務と乖離しているわけではありません。
医療分野(病院)は、ガチガチに法律や規則が整備されていますので、その一職種である医療事務もまた、守るべきルールが多数存在しています。
言ってしまえば、そのルールを覚えたかどうかが、学習の目的であり、実践できるかを問われるのがこの資格であるということです。
医療事務は、ルールを知らないと、実務のスタートラインにすら立てないと考えていいでしょう。
この資格が、実務のスタートラインに立っていることを証明する唯一の資格ではありませんが、少なくとも業界知名度が高い診療報酬請求事務能力認定試験の合格という結果は、スタートラインに立っている人と周囲には理解されるはずです。
医療施設への就職転職は、その専門性、特異性から、業界的にかなり孤立しています。実務経験があれば、資格に頼らずとも転職活動はできると思いますが、未経験で就職や転職となると、資格だけが唯一の武器と言っていいでしょう。
初学者向けの勉強方法
これから勉強しようと思っている方は、最短でも半年、確実性をとるならば1年かけて勉強するという決意を持ちましょう。
試験問題は、同協会のカリキュラムからの出題になり、教材も充実しているため、独学でも合格レベルまでたどり着けますが、挫折してしまう最大かつ最速の理由は、医療業界用語がふんだんに存在することです。
もしあなたが、完全に医療業界とは遠いところにいるというのでしたら、初学者向けの通信講座あたりは利用し、まずは受動的に学習するというスタートの切り方をお勧めします。
効率がいいといわれているからと、いきなり過去問に取り組むことは、この資格においてはやめた方がいいです。最初は、医療用語や医療事務の業務概要といった基礎中の基礎から積み上げることをお勧めします。
診療報酬請求事務能力認定試験の勉強は、はじめが何よりも肝心です。
以上、診療報酬請求事務能力認定試験の勉強を検討されている方へ、3点参考となりそうな情報をまとめました。
資格概要や試験については、以下のページもご参照ください。