診療報酬請求事務能力認定試験:医療事務唯一の公的資格。医療事務職の就職・転職に役立つ資格

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診療報酬請求事務能力認定試験は、厚生労働省が唯一認定している、公益財団法人日本医療保険事務協会主催の資格試験、公的資格です。

医療事務関連の資格においては、最も難しいと言われており、合格率は約30%です。
尚、他の医療事務関連資格は、合格率が推定50~60%と言われています。

公的資格というと、何か独占業務(その資格を保有していないとできない事)がありそうに思われるかも知れませんが、独占業務はありません。
診療報酬請求事務能力認定試験に合格していなくとも、医療事務職に就くことはできます。

1993年に厚生労働省「診療報酬請求事務等に関する検討委員会」の審議を受けて設立された資格で、年間1万人(年2回の試験を実施)程度が受験しています。

医療業界では知名度が高く、医療事務職への就職活動、転職活動において力を発揮する資格です。

「診療報酬請求事務能力認定試験」に関する概要

資格・スキルとしての分類 公的資格
活用分野 各種医療機関の事務職(医療事務職)
用途 就職
転職
実用
標準学習時間 300~600時間
需要度 4.0
習得しやすさ 3.0
習得・活用のための費用の低さ 3.0
在宅との相性 2.0
資格・スキル単体での収益化 2.5
他の資格・スキルへの展開 2.0

尚、診療報酬請求事務能力認定試験は、「医科」と「歯科」に分かれています。毎年7月と12月の年2回、受験機会があります。

何故、診療報酬請求事務能力認定試験は難しいのか。

最も根本的な理由は、療養担当規則、施設基準など、医療事務の実務ではほとんど意識することが無い出題分野があるためです。
『経験者なら、ざっと試験対策テキストを読んでおけばほぼ受かるというレベル』ではない、もっと上の難度ですので、実務経験者でも、しっかりとした学習、試験対策が必要です。

そして、試験形式と内容そのものが、最大難度といっていいでしょう。
まず、試験は、3時間ぶっ続けで、「学科試験」と「実技試験」に挑むことになります。かなり精神力を必要とします。
学科試験ですが、1つの大問内で4つの正誤を選び、その組み合わせを選択する形式になっており、読解力が多少問われるマークシート形式になっています。
そして、総問題数が80問(大問20問に各選択4問の計80問)と膨大で、まさに、集中力との戦いを強いられるでしょう。
実技試験の方は、カルテから手書きでレセプト(診療報酬明細書)を作成するという内容です。
医科は、外来レセプトと入院レセプトの2つを作成。歯科は、外来レセプトを3つ作成するという内容です。
試験場への診療報酬点数表をはじめとした、資料の持ち込みは自由となっていますが、持ち込んだ物を引いてやっていたら、あっという間に試験時間が無くなってしまいます。

診療報酬請求事務能力認定試験合格で、できること

医療事務全般(それ以上)の技能を問う試験ですので、医療事務全般をそつなくこなせることを証明する資格です。
はじめに挙げましたが、この試験に合格することでしかできない業務はありませんので、明確なアドバンテージはありません。

ただし、大病院への転職という場合は、この資格の有無が、実際の選考において差となることはあります。というのも、この資格の合格者は、医療事務業務のあらゆるケースに対応し、手早く正確にできることが裏付けとしてあるといって差し支えの無い能力があり、それは、他の医療事務資格よりも上のレベルであると、試験の内容からして言えるためです。
大病院以外では、そこまで複雑な医療事務ケースや膨大な事務処理量はありませんので、宝の持ち腐れになるかもしれませんね。

また、公的資格は、主催団体の色がついていないので、どこでも偏りなく評価されます。
例えば、民間資格の場合、その資格の主催や協賛をしている組織では優遇されることはありますが、関係ない組織からはあまり評価されません。そうした評価のムラがないのもポイントだと思います。

 

診療報酬請求事務能力認定試験は、医療事務職の一つの到達点として目標となる資格といえるかと思います。

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