まずはじめに、あなたがこのページをご覧になる前に知っていたのは、旧試験の勉強法ではないでしょうか?
2020年11月に実施された、156回日商簿記検定までは「旧試験」と呼ばれる形、それ以降は「新試験」と呼ばれる形になっています。
『定番問題の解法をマスターするために過去問トレーニングが最も重要』と書かれている勉強法は、概ね旧試験での話です。
旧試験から新試験の当初までは、まさに問題に慣れないと解けないような難問が必ず出題されていましたので、過去問トレーニングが必須とも言えましたが、今は少々傾向が異なります。
新試験に変わって2023年までに、以下の様なコンセプトに変わっています。
これによって、敢えて難しい出題ではなく、日常の経理(簿記)業務において、正しく早く処理を行えることが重視されることとなり、基本的なあらゆる仕訳を漏れなく書けることであったり、総勘定元帳と補助簿について回答できること、精算表と財務諸表の問題が解けることを、大問3問に大別して、60分の試験時間に設定されています。
旧試験では、大問5問120分であったのが、新試験では大問3問60分と、出題数が60%になったのに対して、時間は50%になっており、より早く正確にというコンセプトが大きく現われています。
ですので、定番問題マスターのような学習法では、新試験は突破できません。
実際、新試験に変わってから、大きく合格率が落ちていますので、勉強法と試験問題のギャップが大きく影響していると言えるのではないでしょうか。
合格のためには、スピードが必要。
まず。電卓捌きの向上は重要です。簿記検定に使える電卓に、特に機能の制限は設けられていませんので、使いこなせるだけの必要な機能があり、かつ手になじむ電卓を使い倒すことが初歩の初歩になります。
尚、電卓無しで挑む特殊能力者(そろばん、暗算)もいるようですが、合格した後の実務を鑑みるのでしたら、素直に電卓使いましょう。
初学者でなければ、まず実践から
その上で、問題に慣れる必要があります。
そこで、過去問は、少なくとも現時点ではあまり有効ではありませんので、最新の参考書、資格学校の模試・公開されている練習問題をできるだけ集めて、ひたすら解く勉強をしましょう。
もちろん、時間を計測し、試験時間と同じ60分で解く練習です。
そして、自己採点で間違ったところを教材で勉強するようにします。
この『問題集を解く→弱点を教材で補強』をひたすら繰り返して、最終的にコンスタントに満点を取れるようになれば、合格のための学習としては概ね完了です。
初学者の場合は、まずテキストの熟読から
現在の簿記試験は、出題範囲を全て理解している必要があります。絞って学習する事にあまり意味はありません。
ただし、簿記検定3級の問題にあわせて、大問1問ずつ対応する学習に区切って、『テキスト→問題集』の繰り返しは意味があります。
大問構成の傾向は以下の様になっています。
- 仕訳問題
- 個別問題(勘定・補助簿・決算仕訳・用語など)
- 決算書類作成問題
すなわち、まずは大問1の仕訳分野の徹底的な『テキスト→問題集』の繰り返し、終わったら大問2と、区切って学習する方法は、着実な積み重ねができる方法の一つです。
講座やスクールを使うべきか?
新試験は、出題範囲をあまねくカバーする出題傾向であるため、コツをつかむのが難しいという意見も多くあります。
また、過去の定石や先輩の助言のようなものが、すでに役に立たなくなっていることから、初学者は挫折しないように、学習の大半で講座やスクールを利用すると言うことも、今は視野に入れるべきではないかと考えます。
初学者でなければ、試験対策講座のような短期集中の試験対策を利用することは十分検討に値するでしょう。
以上、新試験に変わって、合格率が低下している中、受験者の皆さんも頭を切り替えて学習に臨む必要に迫られています。
この記事が皆さんの一助になれば幸いです。
合格目指して、頑張ってください!
日商簿記3級に関する概要については、以下もご参照ください。